BLレビューサイト「ちるちる」では、自らBL漫画や小説、イラストを創作する”同人活動“をしているユーザー309名に、同人活動の状況や商業デビューへの意向について尋ねるアンケートを実施しました。

アンケートの結果では、50%以上のユーザーが「スカウトされたら商業BL作家としてデビューしたい」と回答。その他、デビューの条件や同人活動のモチベーションなどのアンケート結果などから、同人作家の「本音」を分析します。


◆調査概要
回答数:309
調査対象:「ちるちる」ユーザー
調査方法:インターネットを用いたアンケート
調査期間:2021年9月24日~2021年9月28日
調査したサイト「ちるちる」は株式会社サンディアス運営のBLポータルサイトです。
https://www.chil-chil.net

|同人活動は「漫画」よりも「小説」で行っているユーザーの方が多い


Q.主にマンガ・小説どちらで活動されていますか?

今回のアンケートの回答者は、「同人活動」を行っているユーザーの中でも、自ら創作活動を行っている方。主に創作するものは「漫画」か「小説」ですが、その中でも小説を書いているという方が多くなっています。

漫画を描くには道具などを揃える必要がありますが、小説はスマホがあれば書くことが可能です。気軽に創作活動に取り組めるということからも、小説を書く活動が人気のようです。

|10年以上同人活動を続けているユーザーが25%以上


Q.あなたが同人活動をしている期間は通算どのくらいですか?

1年以上同人活動を続けているというユーザーが84%という結果に。このアンケートの回答者に30代が多いこともあってか、活動期間では「10年以上」と回答したユーザーが25%と最も多くなっていました。同人活動が長く続けやすい趣味であることがわかります。

|「ちるちる」ユーザー層では、「創作BL」ジャンルで活動している同人作家が多い


Q.現在、主に活動しているジャンルはなんですか?

この項目で特筆すべきは「創作BL」の多さです。アンケートを行った媒体が商業BL情報サイトということもあってか、二次創作ではなく「創作BL」を主な活動の場にしているユーザーが目立ちます。

 自分の好きな作品に対する妄想を形にする「二次創作BL」と自分が創作したいものを形にする「創作BL」では、活動する層や活動の動機に大きく違いがあると考えられます。その違いが、後述する商業デビューへの意向にも反映されていそうです。

|自分の作品は「たくさんの人に見てもらいたい」

Q.自分の作品をほかの人に見られることについて、どう思いますか?

自分の創作物を多くの人に見てもらいたいと感じている人が多いという結果に。一方で、半数以上のユーザーが「自分の作品に対して感想や評価を貰う」ことに対して逆にネガティブな印象を持っていました。今や、商業・同人に関わらず創作物に気軽に評価やコメントを付けるのは当たり前。その分マイナスな感想や評価がつくことも多く、そういったことに恐怖心を抱くユーザーが少なくないこともわかります。

|同人活動の障害のほとんどが「人間関係」

Q.同人活動していて困ったこと・不便だと思ったことはありますか?(自由記述)

続いては自由記述の質問です。「困ったこと」の中でほとんどを占めた回答が“人間関係”に関するものでした。作家同士でのやり取りが面倒臭い、厳しい批判や評価に傷つくといったことが挙げられています。その他、二次創作等に特に多いローカルルールへの適応もなかなか難しい問題です。ファンコミュニティ内での問題は、創作活動のモチベーションを下げる大きな原因となっています。

創作を行う同人作家ならではの悩みとしては、同人誌を出す際の値段のつけかたや在庫管理の方法がわからない、という回答がありました。

|同人誌などの作品販売を簡単に行えるサービスが求められている

Q.こんなサービスがあればいいのに!と思ったことはありますか?ある場合、その内容を自由に書いてください。(自由記述)

この質問には、主に2つの意見が寄せられました。
一つ目は、同人誌などの作品制作を簡単にできるサービスが欲しいというもの。同人誌の仕上がりイメージを表示してくれるサイトがほしい、小説本の表紙や目次を簡単に作れるサービスがほしいなどの意見です。

もう一つは、BLファンが利用できるSNSが欲しいというものです。
年齢制限付きのものや「地雷(読みたくない要素)」対策ができるものなど、実現の要望がある要素は多岐に渡っていました。

上記の内容にも少し近いものですが、昨今増えている創作物の「無断転載」や「トレス」への対策に対する意見もいくつか寄せられていました。この問題は、現在人気のSNSや投稿サイトにおいても喫緊の解決が求められています。

|同人作家の半数以上が「商業デビューしたい」と回答

Q.同人活動を通して、商業BL作家としてスカウトされたらデビューしたいと思いますか?

商業デビューに関しての質問では、デビューを希望するユーザーが半数を超えるという結果に。

年齢や活動歴による偏りはありませんでしたが、自分の作品をほかの人に見られることについてどう思うか?という質問の回答とは明確な相関関係がありました。「自分の作品をもっと多くの人に見てもらいたい」と回答したユーザーでは、「商業BL作家としてデビューしたい」と思っている割合が高いという結果になっています。

逆に、「デビューしたくない」と回答したユーザーの多くは「自分の作品に自信を持っていない」ことも明らかになりました。また、「自分の好きな内容で描けなくなってしまうのではないか」という懸念も大きいようです。あくまで趣味だからこそ気楽に表現できる、というのが同人活動の魅力の一つなのかもしれません。