腐女子マーケティング研究所では、2021年9月に商業BLレビューサイト「ちるちる」のユーザー1,615名に、利用している電子書籍サービスやその選び方を聞くアンケートを実施しました。

回答者の9割以上は電子書籍利用者。利用している電子書籍ストアを聞いた質問では「Kindle」や「kobo」と大きく差をつけて「コミックシーモア」が1位という結果でした。
なぜそのような結果になったのでしょうか?腐女子ならではのストア選びの基準や複数ストア利用の際の使い分け方を探ります。

電子書籍を利用している人が圧倒的多数

まず注目したいのが、電子書籍と紙の書籍の購入比率です。

Q.最近のBLコミック・小説の購入比率は?

この質問への回答は、電子書籍ユーザーが91%という結果に。一方、「紙本しか購入しない」と答えた方は10%以下。主流なのが、電子書籍も紙本も買うというハイブリッド型。主に電子書籍を利用していても、手元に置いて眺めたり、手触りを感じたりしたいと思う本はついつい紙で買ってしまうということが多いようです。

電子でも単行本版(コミックス)が人気

Q.読みたい作品がある場合、電子書籍ストアでは以下のどのような形態で購入することが多いですか?

電子書籍ストアで単話版か単行本版かどちらを買うかという質問では、「単行本化されてから」という回答が64%と最も多くなりました。

ちるちる等のレビューサイトやSNSでは作品が単行本として発売されてから(発売されるタイミングで)話題になることが多いので、そういった場で気になった作品をそのまま電子書籍で購入…というパターンが多いのかもしれません。

購入冊数が多い腐女子のストア選びは割引重視

Q.メインで利用している電子書籍ストア1つを選んでください。

続いて、電子書籍ストアの使い方についての質問です。最もメインで利用している人が多かったのは、コミックシーモアという結果に。

では、利用する電子書籍ストアを選ぶ基準はどんなところにあるのでしょうか。

メインで利用する電子書籍ストアを選ぶ理由は「割引がよくある」「ポイントがたまる」が多数!メイン以外の電子書籍ストアを利用しはじめた理由も「割引率が高かった」という回答が最も多いという結果でした。

月間16冊以上購入するというユーザーが14.6%も

割引率が重視されるにはこんな理由があるようです。

Q.1か月間にどのくらいの数の電子書籍を購入しますか?

単行本1~5冊分を購入するというユーザーが最も多いという結果でしたが、驚くべきなのが、1か月に16冊分以上購入するというユーザーが14.6%もいるということ。1冊700円と考えると、16冊では1万1,200円……なかなかの金額です。割引やポイント重視でシビアにストア選びをするという傾向にも納得できるのではないでしょうか。

3つ以上のストアを利用したことがあるという声が多数

Q.現在、いくつの電子書籍ストアを利用していますか?

電子書籍ストアの複数利用について尋ねた質問では、全体の8割近くが子書籍ストアを複数利用しているということが分かりました。

しかし、次の質問では、「使い分けはあまりしていない」ということが明らかになっています。

Q.2つ以上の電子書籍ストアを利用したことがあると答えた方は、どのように使い分けていますか?

2ストア以上を使っているユーザーの中でも、メインのストア8割以上と答えたユーザーが60%以上。複数ストアに登録していても、色々なストアを同じように利用しているとは限らないようです。

現状、電子書籍ストアを縦断して一つのアプリで見るということができないので、電子書籍の蔵書を複数ストアで持っていると「あの作品はこのストアだったっけ?」「こっちのシリーズはどのストアで買ったっけ…⁉」とわからなくなってしまいがちです。できれば大規模なセール以外はメインのストアに統一したいと考えている方が多いのではないでしょうか。

譲れない「修正」へのこだわり

電子書籍ストアへの要望を自由記述で聞いた質問で多かった回答は「修正しすぎないでほしい」「紙の本と同じ修正にしてほしい」という“修正”にまつわるものでした。

BL作品(漫画)では、センシティブなシーンも重要な要素の一つ。電子書籍では紙の本よりも修正が厳しく設定されていることも多く、見たい部分がほとんど白抜きなどで見えなくなっていてがっかりするユーザーは多いようです。「エロ重視の作品は修正が緩いストアでわざわざ購入している」「R-18版をきちんと設定して修正なしのバージョンを配信してほしい」という具体的な意見も寄せられていました。

その他、「紙本と電子書籍の発売日をそろえてほしい」という意見や、「もし電子書籍ストアのサービスが終了しても読める手段は残してほしい」といった意見も多く見られました。

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腐女子は日々多くのBL作品を読んでいます。電子書籍にも多くの金額をつぎ込んでいるからこそ、「なんとなく知っているサービスを使う」「一度登録したサービスを惰性で使い続ける」のではなく、シビアにサービス内容を判断して電子書籍ストアを利用している方が多いようです。

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