新型コロナウイルスの蔓延によりステイホームが叫ばれ始めた2020年。腐女子マーケティング研究所では、商業BLレビューサイト「ちるちる」にて2020年3月に「BL消費に関するアンケート調査」を実施しました。
今回は、腐女子ユーザー1,133人のアンケート結果をもとに、コロナにより購買行動がどのように変化したのかを分析していきたいと思います。

腐女子の年間BL購入金額は10万円以上!

月間では5000円~3万円が約9割

Q.年間でBL関連にいくら使っていますか?

最も多かったのは、年間10万円以上購入する層。次いで5万円~10万円、1万円~5万円と続きますが、特筆すべきは年間50万円以上購入しているBLファンが6%いること。アンケートの回答者の平均年齢は34歳と社会人が多いことが、消費額の大きさに繋がっています。

Q.1ヶ月に平均でBL関連(商業・二次作品等含む広義でのBL)でいくら使っていますか?

より細かく月間購入額を見ると、5000円以下・1~3万円・1万円以下でおおよそ3割とばらける結果になりました。

BL消費TOP3は読み物(ストーリー消費)

消費は多様化しているものの、読み物が優勢なのは変わらずか

次に、実際どういった物を購入しているのかを調査。11のカテゴリ(商業BL漫画/商業BL小説/舞台/商業BLグッズ・イベント/作家・声優イベント/BLCD/同人誌/一般作品アプリ(コラボ含む)/同人グッズ・イベント)から購入頻度の高い順で答えていただきました。

【消費BLジャンルTOP3】
1. 商業BL漫画
2. 同人誌
3. 商業BL小説

TOP3は、漫画・同人誌・小説と読み物が独占する形となりました。サイン会などのイベントやグッズ展開などBL消費そのものの多様化は進んでいますが、それらの展開の元となる媒体への投資がやはり優勢となりました。

▼BL関連の中で最も購入しているカテゴリー

▼BL関連の中で2番目に購入割合が高いカテゴリー

▼BL関連の中で3番目に購入割合が高いカテゴリー

コロナによる外出自粛も出費額に特に変化はなし

出費が通常より減ったもしくは変化なしが9割。逆に増えた理由はイベント中が大きな要因か

アンケートでは、「新型コロナウイルスの影響によるイベント中止等により、消費に変化があったか」という点も調査しました。

Q.コロナウイルスの影響によるイベント中止等、お財布事情に変化はありましたか?

出費に変化なし、もしくは抑えられたという人が9割という結果に。
特に変化なしという人が最多でしたが、その内訳は以下のようになりました。

家で楽しめる漫画や小説をはじめとした自宅エンタメの購入需要は年々増加傾向にありましたが、外出自粛をトリガーにさらに加速していることが分かります。価格も大体1冊あたり1000円以下で楽しめ、各電子書籍ストアでのフェア開催なども相まって、電子書籍購入を後押ししているようです。

外出自粛により「損した」と回答した人は1割でしたが、その理由はなんだったのでしょうか。

コロナ禍でイベントのキャンセル分をBLに回したら出費が増えたケースも

まずは、2020年3月に話題となったこちらのツイート内容をご覧ください。

本項を結論から述べると、「出費予定だったイベントがキャンセルになった分の予算をBL作品に投入し、気がついたら予算より大幅に購入している」というコメントが、全回答者の約3割から寄せられました。

その中から、1万円~10万円以上損した人たちの理由を、アンケート時に提供いただいたコメントでご紹介します。こうしたコメントから、先ほど引用したツイートのような現象が実際に起きていることが把握できるかと思います。

外出自粛で在宅時間が増えた

<1万円以上出費増>月に10冊までと決めていた本が、家にいることが多くなった為か、いつのまにか20冊近く買ってしまっていました…。
<1万円以上出費増>家に篭ることが多くなり、電子書籍で漫画や小説を購入し読書に耽ることが非常に多くなりました。結果、普段より10ー15冊ほど多く購入し、1万円ほど出費が嵩んでいます。

電子書籍フェアが購入の背中を押す

<1万円以上出費増>様々な自粛により各出版社さまが自宅で楽しめるよういろいろな企画をしてくださるので、いつもより多く電子書籍などを購入することになりました。出費はあったが、得をしています。

◆イベントキャンセル分で購入のつもりが、キャンセル分を大幅にオーバー

<10万円以上出費増>Jガーデン(BL同人誌即売会)は不参加。そのフラストレーションのせいか、ネット通販でグッズや漫画を買い漁り、この短期間で10万以上使ってます(グッズ:3万 漫画と小説:8万)。
<5万円以上出費増>他の趣味のチケット返金があったので、その分BL漫画を買おうと思ったら1万程度予算をオーバーして結果いつもの2倍くらい漫画を買ってしまった。

◆グッズは消費じゃない、幸せの投資である

<10万円以上出費増>イベントで購入出来なかった分を全て通販で購入したので、ついでにグッズを大量に購入している。
<10万円以上出費増>イベントが中止になった分、通販の本やグッズにお金をつぎ込み、イベント代よりも高い買い物になりました。
作家さんもBOOTHなどでオリジナルグッズを通販しているので、月に数万以上グッズ類に費やしています。でも、損だとは思わないです。部屋にグッズがあふれているのも幸せです。

「推しに予算をかけたい」コロナ禍初期の消費意欲は高め

ロイヤリティの高い購買層の消費実態も明らかに

2020年の推し作品への消費意欲を、0~5の5段階で調査しました(5が「出来るだけお金をかけたい」、0を「出来るだけ出費を抑えたい」)。

Q.もし2020年に推し作品のイベント等があれば、どの程度予算をかけたい気持ちがありますか?

結果は、予算をかけたい人が多いことが分かりました。
興味深いのは、前述した外出自粛による出費が通常より増えたと回答した人全員の消費意欲が、「予算をかけたい」寄りの5段階の3~5であったこと。
また、こちらの回答者全員が年間50万円消費しているという結果も。
このように、コラボカフェや映画、展示会へ毎日のように足繁く通うファン、万単位の予算でグッズを購入するファン=ロイヤリティの高いBLファンの購買層が存在します。

以下では、そんなロイヤリティの高いBLファンのコメントの一部をご紹介します。

人生をBLに捧げているので、大好きな作品や作家さんには惜しまずお金をかけます。毎月の給料の90%をBL予算にしていますが、後悔は全くないです。
推しの応援やお給料に反映されるのであれば惜しみ無く使いたいです。
BLの発展の為になるべくお金をかけるようにしています。

給与の9割、推しの応援、BLの発展など、これほど人を魅了するBLコンテンツの凄さを痛感するコメントでした。

まとめ

腐女子のBL消費の実態、またそれがコロナによる外出自粛でどう変化してきたのかをご紹介しました。腐女子は商業BLコミック・小説や同人誌などの読み物に日頃からお金をかけているため、コロナ禍でも消費活動でも継続して出費を続けているユーザーが多い印象ですが、電子書籍や通販などの自宅エンタメの需要の高まりが多くのコメントから見られました。
外出自粛により出費が増えた人は全体の1割と少数でしたが、そういったユーザーのコメントからは非常に強いBL愛が伝わってきました。

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