BL実写化に賛成?反対? 腐女子が漫画の実写化に圧倒的に求めるものとは

株式会社サンディアスは、自社が運営するBLレビューサイト「ちるちる」上でユーザー1,252名を対象に、漫画の実写化作品をどう思っているのかアンケートをいたしました。(アンケート期間:2021年7月)
アンケート結果からは、原作愛ゆえの厳しいコメントも多々見られましたが、満足度の高かった作品からはある共通点が見られました。

◆調査概要
回答数:1252
調査対象:「ちるちる」ユーザー
調査方法:インターネットを用いたアンケート
調査期間:2021年7月9日~2021年7月13日
調査したサイト「ちるちる」は株式会社サンディアス運営のBLポータルサイトです。
https://www.chil-chil.net


Q.BL原作の実写化作品は見ますか?

┃見る・見ないで意見がぱっくり。BLに関してはほぼ五分五分の結果に。

さっそくBL作品の実写化について聞いてみました。


2010年代の実写化BL作品では、普段メディア露出が少ない舞台俳優の出演が多かったですが、近年はメディア露出も多い若年層に人気の若手俳優の起用が話題を呼んでいます。

そのため年齢層別に見ると20代前半までは、実写化に賛成意見が上回るのですが、30代後半からは反対が多くなっていきました。


Q.今までで満足度の高かった実写化作品は?
┃BL作品では『チェリまほ』が圧倒的人気。キャスティングがドンピシャの声多数。


これまで数々の漫画作品が実写化されてきましたが、実写化として満足度が高かった作品はなんだったのでしょうか。まずはBL作品から見ていきたいと思います。
 


BLドラマとしては珍しく地上波で2020年の秋クールに放送された『チェリまほ』こと『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』が堂々の1位に。
Twitterとpixivで大人気の同作品は、実写化発表・キャスティング発表ともにSNS上で盛り上がっていました。

では、上で選ばれた作品はどの点で満足度が高かったのでしょうか。
 

キャスティングが良かったの声が多数。
1位の『チェリまほ』に関して言えば、数々のリーマン当て馬役を演じてきた劇団XILEに所属の町田啓太さんが、原作の黒沢に引けを取らないイケメンっぷりで既存ファン&新規ファンともに魅了していました。

『チェリまほ』が選ばれた理由としては、ドラマオリジナルの要素が良かったというコメントも見られました。
下記は、ユーザーのコメントを抜粋したものです。


「ドラマオリジナル要素もストーリーに必要な要素だったり恋愛しないという立場の人の肯定が行われていたり、意味深いものだった」
「BLの括りに拘泥せず真摯に《人間》同士の恋として描いた点がとても良かった」
「役者さんの芝居が原作のキャラの解釈に近かった」



満足度ランキングの3位以降には、濃厚な絡みシーンまでしっかりと演じられていた『窮鼠はチーズの夢を見る』『ポルノグラファー』『性の劇薬』がランクイン。

こちらは役を演じられた俳優の演技力や映像の美しさが評価されていました。


「役者の本気」
「作品の世界観を壊していなかった」
「登場人物の感情を繊細に表現していた」



ただ、無視できないのは、選択肢の中には満足度が高かった作品はなかったという回答が多い結果
まず実写化作品を見ていない人も多いとは思いますが、やはり原作にぴったりハマりファンから支持を得られる実写化はなかなかないのが現実なのでしょうか。

Q.BLに限らず原作を知っている実写漫画作品を見ますか?
一般作品もBL作品も「見る」割合はほぼ同じ

続いて、非BL作品(一般漫画)の実写化を見ていきたいと思います。
ただの「実写化作品」ではなく「原作を知っている実写化作品」という形で聞いてみたところ、見る人が6割近くいることがわかりました。


原作を知っているのと知らないのでは、実写化作品の見方は大きく異なるはずです。原作のファンであれば、キャスティングのマッチング具合やストーリーの差異などに敏感になるかと思います。
 


西島秀俊さん・内野聖陽さんの豪華なW主演で実写化された『きのう何食べた?』が他と大差をつけて1位に。
次いで大人気少年漫画『銀魂』『るろうに剣心』が同率2位にランクイン。

では、選ばれた理由を見てみましょう。


やはりBL作品同様、キャスティングが良かったの声が多いです。
原作のキャラクターのイメージにどこまで近づけるかは実写化にあたり非常に重要かと思います。イメージが合わないと、キャスティング発表の時点で大抵関心は薄れてしまうものです。

同棲するゲイカップルの「食生活」をテーマにした『きのう何食べた?』は、キャスティングはもちろんのこと、原作に忠実であった点が高く評価されていました。


「細部まで神経走っており、スタッフの作品への愛を感じた!」
「ほぼ原作通りで、原作の世界を壊さないところが、制作陣に好感が持てた」


また、続編が公開される度にその完成度の高さが話題となる『るろうに剣心』もユーザーから多くの支持を得ていました。


Q.BLの実写化に賛成ですか?反対ですか?
┃反対の声が約6割。やはり2次元と3次元の間には大きな壁が。

近年増えるBLの実写化ですが、BL好きの腐女子は賛成派が多いのか、それとも反対派が多いのでしょうか。
 


反対と賛成でそこまでの大差はないものの、反対の声が多く上がりました。
では、どのような理由から反対されているのでしょうか。
 


「作品の世界観を壊されたくない」という回答が33.6%を占めました。
実写化=原作そのままというわけではなく、多少オリジナル要素やストーリの変更が加わることはしばしば。
ただ、少しでも原作と異なるストーリー運びにすると、作品の解釈がマッチしなくなり、原作ファンとしては納得のいかない内容となることが多いのかもしれません。

こちらの項目には多くのコメントも寄せられ、BLというジャンルの特性もありますが、2次元を3次元にすることに抵抗がある人が多いことが分かりました。


「演出に限界があるので必ず原作から外れていく」
「二次元は二次元のまま楽しみたい」
「三次元になると嘘っぽく感じることが多いから」


同性愛者が主役のLGBT作品とは少し異なるBL作品は、原作が2次元であるからこそ、「あくまで2次元のファンタジーだからこそ良い」という声も多くみられました。

上で賛成と回答した方には、実写化してほしいBL/非BL作品を聞いてみました。
ここでは、452件の回答の中から実写化希望の声が多かった作品TOP5を発表したいと思います。
 


BLアワード2021コミックス部門1位に輝いた『オールドファッションカップケーキ』がダントツの1位に。
上司と部下の日常ほのぼのな雰囲気が、『きのう何食べた?』と少し似たテイストなのも選ばれた理由かもしれません。

次いで2位にランクインしたのが、イケメン俳優同士の恋を描いた芸能BL『25時、赤坂で』。
芸能界が舞台ということで実写化しやすいのでは? といったコメントも見られました。

そして3位には『囀る鳥は羽ばたかない』がランクイン。劇場アニメ化もされた同作品ですが、ヤクザ映画として観たい! という声も。

非BL作品では和山やま先生の『カラオケ行こ!』が5位にランクイン。
中学3年生の岡聡実と39歳のヤクザ・成田狂児がカラオケを通じて友情を育むブロマンス要素も若干匂わせる作品。
和山先生作品といえば、『夢中さ、君に。』が実写ドラマ化されていましたが、あの原作のシュールさがドラマでも見事に再現されていました。
現在、大人気連載中の『女の園の星』も実写化してほしいという声が上がっていました。



Q.実写化に求めるものは?
┃キャストには原作のイメージに合っているか、作品には原作にいかに忠実で世界観を壊さないかが求められる。

タイBLや中華BLブームに続き、国内でもこれからさらにBLの実写化が増えることが予想されますが、実写化の成功にはキャスティングが最重要であることが分かりました。

では、主演キャストにはどういったことが求められているのでしょうか。
 


4割強の人が「原作のイメージと合っている」ことを最重視。
演技力はもちろんのことながら、2次元、またBLの実写化にあたってはビジュアルの良さも重要であることも結果からわかります。
ただ、演技力がありビジュアルが良くても、原作のイメージと合わなければ、少なくとも原作ファンには刺さりません。
原作をいかに理解して役を演じられるかが大きなカギとなるのではないでしょうか。

実写化に求めることを聞いてみたところ、1,000件を超えるコメントをいただきました。
やはり一番多かったコメントは、「原作に忠実、原作の世界観を壊さない」でした。


「原作の世界観もありつつ、実写化ならではのリアリティのある萌えを提供していただけたら嬉しいです」
「原作に忠実な作品作りと性描写より内面重視でやってほしい」


また、多くのBL作品で欠かせないセクシー表現に関しては、実写化では求めないという声も。


「生々しい表現は直視できない」
「性的描写は、芸術的な感じに留めて欲しい」


『おっさんずラブ』や『チェリまほ』が人気だった背景には、地上波ということもありますが、キスや抱擁程度で生々しいシーンがなかったということも大きいな理由の一つかもしれません。
また、ラブストーリというよりはラブコメディであるほうが万人受けはいいのかもしれませんが、その点は意見が二分化していました。


「シリアスな話よりもコメディっぽい話のほうがBL実写化で見てみたいと思います」
「とっつきやすいようにと、コメディタッチにするものが多いように感じますが、そうで無いものの方が見やすいです。変にオーバーにしたりせず、自然体の。」



こうした意見がある一方で、実写化自体に否定的な意見も少なくはありませんでした。
中には「アニメ化だけでいい」「アニメ化もしてほしくない」といった声も。


「中途半端になるのが見えているから実写化はいらない」
「無理矢理実写化しなくても良いと思っています。それぞれのイメージや想いがあるので、ぎりアニメ化くらいでとどめて欲しいです。」


3次元が2次元の通りにいかないのは当然ですが、実写化にあたり、制作側、また役を演じる役者の人たちがいかに原作を理解して作品を作り上げていくか、そこがとても大切であることがアンケート結果全体からよくわかりました。

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男女の恋愛を描く少女漫画の実写化に関しては、若手俳優や人気のジャニーズの起用で若い世代の支持を得てきました。しかし、BLというジャンルになると、原作のファン層も若い世代から主婦層まで広がり、キャラクターそのものの魅力は当然ながら、キャラクタ―同士の関係性が作品の中でも非常に重視されます。
そうした点からも、少女漫画や少年漫画以上にキャスティングや原作の世界観が最重要視されているのかもしれません。

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